不妊症の検査内容

基礎体温の測定

基礎体温の測り方

基礎体温を測定するためには婦人科体温計を購入する必要があります。
この体温計を枕元に置いておいて、目が覚めたときに口にくわえて体温を測定します。
その値をグラフにしたものを基礎体温表といいます。

基礎体温からわかること

  1. 排卵の有無がわかる
  2. 毎月のパターンから排卵日が予測できる
  3. 黄体機能不全の有無がわかる
  4. 不正出血の原因を推測することができる

精液検査

精子濃度、運動率、精子奇形率などを調べます。

男性不妊は不妊症の30%を占めるので、精液検査は大事な検査です。
精液検査では精子濃度、運動率、精子の形態などを正確に調べる必要があります。
ただしこの検査で精子の全ての能力がわかるわけではありません。
精子濃度が正常でも、受精する能力に問題のある方もあると言われています

頸管粘液検査

頸管粘液検査とは

子宮頸管腺が分泌する粘液の性状をみる
この検査では子宮頸管粘液の量、透明度を測定し、さらに粘液の粘度を調べます。
排卵時期が近づくと粘液の量が増加し透明度があがり、粘液の粘度が上昇してきます。
これらの所見により排卵時期を推定することができます。
排卵誘発剤のクロミッドの長期服用によって頸管粘液の分泌量が低下することがありますので注意が必要です。

頸管粘液と妊娠率

排卵日近くになると子宮の頸管内が透明な粘液で満たされます。
膣内はPHが酸性ですので精子は長く生きていることはできません。
一方頸管内はPHが弱アルカリ性ですので、精子は良好な頸管粘液が存在している時のみ子宮腔の中に泳いで進入できます。
排卵直前の頸管粘液は0.3-0.4mlほどになりますが、粘液量が少ない場合には子宮腔内に進入することができず不妊となってしまいます。

頸管粘液は排卵数日前から増量し、最終低温日ころに0.3-0.4mlに達し、透明で糸を引くような性質(牽糸性といいます)になります。
頸管粘液の中には電解質が含まれていて、乾燥後に顕微鏡で観察すると羊歯の葉のような模様がみられます。(羊歯状結晶といいます)このような望ましい変化が認められる粘液は精子の遡上に適しています。

これらの指標の中で、最も妊孕性と関係が深いのは粘液量で、粘液量がピークに達した日から4日以内に約75%が排卵します。
基礎体温および頸管粘液はいずれも卵胞成熟の目安となりますが、排卵時期をピンポイントに予測することはできません

子宮卵管造影検査

子宮の形と卵管の通過性を調べます

子宮卵管造影検査とは

一般的に子宮卵管造影検査というのは月経直後に行うX線検査のことで、
子宮頸管の入り口から造影剤という溶液を注入し、子宮腔や卵管の形をみたり、卵管の通過性を確認する検査です。
この検査はX線診断装置が必要なのですが、当医院ではその設備を設置しておりませんので、近所の病院で検査をお願いしております。

子宮卵管造影検査でわかること

子宮卵管造影では卵管の通過性を確認することができます。
子宮卵管造影検査を行う時期は子宮内膜の肥厚がなく、排卵日から離れた月経直後が適しています。
一般的には月経開始日から10日以内に行うことが多いです。
子宮卵管造影検査の前には性交渉は控えるようにしてください

ヒューナーテスト

排卵日が近づいた頃の早朝に性交し頸管粘液を採取、精子数を調べます。

ヒューナーテストとは

排卵日近くの朝に性交していただき、数時間以内に来院していただいて、頸管粘液中の精子の進入の状態をみる検査です。
膣内分泌液と頸管粘液を採取して、元気な精子が子宮頸管内にどのくらい進入できているかを顕微鏡で観察します。

いかに多数の運動性のよい精子が膣内に射精されたとしても、子宮腔内に進入できなければ妊娠は望めません。
ヒューナーテストの結果から、頚管内に運動精子が認められない場合には妊娠率が低くなってしまいます。

ヒューナーテストでわかること

検査をすると、膣内分泌液中には多数の精子が見られるのに、子宮頸管内には精子が見られないことがあります。

原因
・頸管粘液が十分に分泌されていないため、精子が子宮頸管を通過できないからだと考えられます。
・頸管粘液中に精子の運動を阻害する物質を女性が持っている場合です。
 この物質のことを抗精子抗体といいます。

男性の精子の数が少なかったり、元気がない場合にも、十分な数の精子が子宮内に入っていけません。
ただ、精子に関する検査結果は、男性のその日の体調に左右されやすいものです。
1回の検査で判断せず、再検査を何度か行った上で判断したほうがよいでしょう。

ヒューナーテストが不良な方は頸管粘液の悪影響が及ばないように、精液を濃縮して子宮内に直接注入する治療を行います。
これを人工授精(AIHともよびます)といっています

経膣(けいちつ)超音波検査

卵胞の発育状態・子宮や卵巣の状態などをモニターで調べます。

経膣超音波検査とは

膣内に親指ほどの太さの超音波断層装置のプローブを挿入し、子宮や卵巣の状態をモニター画面に映し出す検査を経腟超音波検査といいます。
この検査で子宮に存在する子宮筋腫、子宮腺筋症、あるいは卵巣嚢腫などが診断できます。骨盤腔内(骨盤の骨で囲まれた部分のこと)の病変は、おなかの上からプローブをあてて検査をする経腹超音波検査より経膣超音波診断のほうがはるかに鮮明な像をえることができます。

経膣超音波検査でわかること

経膣超音波診断で卵巣内の卵胞の発育程度を知ることができ、排卵日を正しく推定することができます。
卵胞の発育状態を正しく診断する方法としては、この経膣超音波検査を用いる方法が最も優れていると信じられています。
また、経膣超音波診断で子宮内膜の状態を知ることができます。排卵直前に10mm前後の厚さになり、木の葉のような3層構造がみられます。
排卵後には3層構造は失われ均一な像になります。
このような一連の変化が認められる場合には、卵子が子宮に着床しやすい状態になったと判断されます。

ホルモン検査

ホルモン検査とは

排卵直前には卵胞から分泌されるホルモン(エストラジオール)の値が上昇してきます。
逆にこのホルモンの値から卵の成熟度を推定することができます。
また卵が成熟すると下垂体から排卵を命じるLHというホルモンが分泌されます。このホルモン分泌をLHサージといいます。
このホルモンは最終的に尿中に排出されますので尿検査でLHサージを検出することができます。LHサージが検出されたときにはそれから24~36時間後に排卵がおこることが推定されますので、それにあわせて性交渉をもっていただくことになります。

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